射撃競技とは

射撃競技は、弓道やアーチェリーと同じ、的を狙って当てるスポーツです。遠くの目標を狙って同じ動作を正確に繰り返す、という点では、ゴルフ、ボウリング、ダーツ、カーリング等とも似ているところがあります。
その歴史は古く、オリンピック種目としては1896年の第1回アテネ大会から行われ、現在でも陸上競技に次いで参加国数が多いなど、射撃競技は世界的にとても人気があります。

ライフル射撃・ピストル射撃・クレー射撃で各5種目がオリンピックで行われ、射撃競技としては計15個の金メダルが授与されます。ピストル射撃は近代五種競技、ライフル射撃は冬季大会のバイアスロン競技としても行われます。
学生射撃ではライフル射撃とピストル射撃を、個人戦および大学別の団体戦で競います。

下表は、全日本学生スポーツ射撃選手権の団体種目です。そのほか大会によって10mエアライフル立射のミックス種目(男女1名ずつのペア団体)、50mスモールボアライフル伏射、10mエアピストルなどの種目が行われます。

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団体種目人数
男子総合団体10mエアライフル立射3名
50mスモールボアライフル三姿勢3名
女子総合団体10mエアライフル立射3名
50mスモールボアライフル三姿勢3名
ビームピストル団体10mビームピストル2名(男女混合)

銃の種類と種目

空気銃(エアライフル、エアピストル)と、装薬ライフル銃(スモールボアライフル)に大別されます。空気銃は圧縮された空気の力で鼓型の鉛製ペレットを飛ばし、10m先の標的を狙います。エアライフルで狙う黒点の直径は約3cm、その中心にある直径0.5mmの10点を撃ち抜きます。

スモールボアライフルは、薬莢に火薬が入った実弾(.22LR)を使用し、50m先の屋外に設置された標的を狙います。風向きや太陽光の影響を考える難しさと面白さがあります。また、立射だけでなく伏射・膝射を加えた三姿勢競技が行われます。

いずれも、種目ごとに定められた制限時間内に、定められた弾数を撃って合計点数を競います。点数は整数で数える種目と、小数まで数える種目があります。個人戦は、上位8名による決勝(ファイナル)で最終順位を決定する場合があります。

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使用する銃口径射撃場距離10点の直径主な種目
エアライフル4.5mm屋内10m0.5mm立射
エアピストル4.5mm屋内10m11.5mm立射
スモールボアライフル5.6mm半屋外50m10.4mm三姿勢、伏射

選手インタビューやライフル射撃競技について動画でご説明いたします。
2つの動画は発射音がしますので、音量にはご注意ください

ライフル射撃

ピストル射撃

日本国内における銃所持

空気銃を含めて、銃を所持するには銃刀法に基づき各都道府県の公安委員会から許可を受ける必要があります。競技(標的射撃)のほか、狩猟や害獣駆除の目的でも銃を所持できます。所持した銃は、許可を受けた目的のみに使用できます。

大学から射撃を始める場合、銃砲店で新品または中古の空気銃を購入するか、または各大学が管理する銃(いわゆる部銃)を借りて所持する場合が多いです。

自分の空気銃を所持するまでの間は、公立の体育館または各大学が所有するビームライフルやビームピストルを使用して練習できます。これらは誰でも使用することのできる、弾が出ない光線銃で、中学校・高等学校の部活動や、国民スポーツ大会のジュニア種目に使用されています。

安全管理・事故防止

競技に使われる空気銃は初速で秒速120~180m、スモールボアライフルは秒速330m前後で弾を発射します。
空気銃のペレットは先が平らで硬いものに当たると潰れて銀紙のようになり、スモールボアライフルの弾は音速を超えないように火薬の量が減らされているなど、威力よりも命中精度に特化した競技用品とはいえ、その威力は玩具のエアソフトガンの比ではなく、安全管理や事故防止には細心の注意が必要です。

銃刀法に基づき特別に許可を受けて銃を所持する者として、法令やルールを守るのは当然として、日頃から銃所持者であることを意識して行動しましょう。

日本ライフル射撃協会が「国内危害予防規則」として「射撃にたずさわるものは競技役員を含めて本規則を完全に理解、吸収し、危害予防に立脚した優れた競技人たることを本分とする。」ならびに「選手は当項を反復、復習、実行し第二の天性とするまでにならなければならない」と定めている中から、いくつかを抜粋します。

射撃をする場合のほか、銃を手にしたときは必ず「抜弾してあること」を確認すること。

銃はたとえ「抜弾してあること」を確認しても、絶対に人または人のいる方向に銃口を向けてはならない。

弾を装填する場合は標的の方向に向けて行わなければならない。

銃を置く場合は必ず銃を「安全な状態」にしなければならない。
安全な状態とは抜弾され、①エアガンでは装填ラッチを上げるか(中略)蓄気ボンベを外す。②ボルト式にあってはボルトを開放する。(中略)併せて弾が発射できないことが第三者によって明瞭に識別できるように、セフティフラッグが挿入されていることと定義する。

許可なく他人の銃に触れてはならない。